スペースNo. ぞう-8

ドライグ・タイムズ

創作ハイファンタジー小説です。一生懸命取材してきました。
 
  • 斎藤斎
  • たかなし朔
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広い部屋。板張りの床のうえに、たくさんの木目の古めかしいデスクが並ぶ。四席ずつ横並びにしたのを向かい合わせにして一つの島をつくって、それが何個も見える。高い天上にはいくつものワイヤーが渡されていて、そこから糸を垂らす。糸のさきにはクリップがあって、これに「記事」の束をつけると、糸はワイヤーのごく近くまで持ち上がり、デスクで仕事に熱中する人々の頭上を滑っていく。
ここはハルバルトでもっとも読まれている新聞社、ドライグ・タイムズのイービス支局政治部のオフィスだ。デスクにかじりつく多くの人は慣れきった様子でタイプライターを叩き鳴らす。その音があちこちから響いて、一部の社員の話し声をほとんどかき消していた。オフィスの入り口はいくつかあるが、そのどれもが壁際の窓と向かい合わせになっている。窓際には役職を持った者の座席が並んでいて、オフィスに入ると人垣の向こうにいる忙しそうな年配の男女の姿が見えた。陽も落ちたこの時間、本当ならまばらに帰りだす社員がいてもいい頃合いだというのに、きょうはまるで祭りのような賑わい加減である。それもそのはず、なにせきょうは、あの〝白騎士団〟がイービスに現れたのだから。
ハルバルトだけでない。世界でいま一番注目されている集団、〝白騎士団〟。いつどこに出現するともわからない傍若無人な彼らの存在を、どの新聞社よりも早く一面に掲載しなければ、ドライグ・タイムズの名が廃るというものだ。